SGLT2阻害薬は手術の3日前から休薬し、食事が十分摂取できるようになってから再開する

疾患-薬剤

多くの血糖降下薬などは、低血糖防止のために手術当日から服薬を中止することが一般的ですが、SGLT2阻害薬は手術の3日前から休薬することが推奨されています。

またその際SGLT2阻害薬の再開は食事が十分摂取できるようになってから が推奨されています。

正常血糖糖尿病性ケトアシドーシス

SGLT2阻害薬により起こるケトアシドーシスは、血糖値の上昇を伴わない正常血糖糖尿病性ケトアシドーシスであることが特徴です。

通常の「糖尿病性ケトアシドーシス」

通常の糖尿病性ケトアシドーシスはインスリン不足により起こります。インスリンが不足すると細胞は糖分を取り込むことができません。
これにより血中の糖分が増加してしまう事で、血糖値は大変高くなります。
また、細胞が糖分を取り込むことができないので、細胞は糖分のかわりに非常事態用のエネルギー源である脂肪を分解してエネルギーとして使います。
そして、脂肪の分解物であるケトン体が血液中に増え、体(血液)が酸性になり、種々の不具合が起こる。といのが通常の糖尿病性ケトアシドーシスです。

SGLT2阻害薬により起こる「正常血糖糖尿病性ケトアシドーシス」

しかし、SGLT2阻害薬を投与している場合には、細胞が取り込むことができなかった糖分を尿中へ排泄してしまうことので、血糖値が上がりません。
血糖値は上がりませんが、細胞は糖分をエネルギーとして取り込めていませんので、先と同じく脂肪を分解し、ケトアシドーシスとなります。

ケトアシドーシスは外傷ストレスや絶食でも起こる

また、絶食や飢餓状態激しい運動を続けた際大きな手術・外傷等の時にも、身体はエネルギー源として糖質よりも脂質を利用します。
SGLT2阻害薬を服用中の患者さんがこれらの状態の際には、正常血糖糖尿病性ケトアシドーシスとなる危険性がありますので、注意が必要です。

手術の際には、3日前から休薬するよう指示が出ているか薬局でも確認させていただいています。
そして手術後、十分に食事が摂れるようになったらSGLT2阻害薬を再開します。

参考

※SGLT2阻害薬についての基本的な情報はこちらのページにも書いています。

SGLT2阻害薬(糖尿病治療薬)の特徴と注意点の一覧
SGLT2阻害薬一覧 糖尿病治療薬の1つである SGLT2阻害薬ですが、 現在下記6種類(6成分)が発売されています。 当ページでは、これらの薬剤に共通の特徴と注意点について確認してゆきます。 SGLT2阻害薬の特徴 ...

[参考文献]

日本糖尿病学会は「SGLT2阻害薬の適正使用に関する Recommendation(2020年12月25日改訂) の中で下記のように推奨しています。

5.発熱・下痢・嘔吐などがあるときないしは食思不振で食事が十分摂れないような場合(シックデイ)には必ず休薬する。また、手術が予定されている場合には、術前3日前から休薬し、食事が十分摂取できるようになってから再開する。

 

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