SGLT2阻害薬一覧
糖尿病治療薬の1つである SGLT2阻害薬ですが、
現在下記6種類(6成分)が発売されています。
成分名(略称) | 代表的薬品名 |
---|---|
イプラグリフロジン | スーグラ錠 |
ダパグリフロジン | フォシーガ錠 |
ルセオグリフロジン | ルセフィ錠 |
トホグリフロジン | デベルザ錠 |
カナグリフロジン | カナグル錠 |
エンパグリフロジン | ジャディアンス錠 |
当ページでは、これらの薬剤に共通の特徴と注意点について確認してゆきます。
SGLT2阻害薬の特徴
尿中への糖の排泄量を増やす
SGLT2阻害薬は 尿中への糖の排泄量を増やすことで、血液中の糖を減らしてくれるという特徴(主作用)があります。
単独投与の場合は低血糖の副作用が少ない
上記の通り、インスリン(血糖を下げるホルモン)に直接関与する仕組みではないためSGLT2阻害薬単独投与の場合は低血糖が少ないといわれています。
1日1回朝食後または朝食前の服用
すべて、内服薬(錠剤)で 服用回数が1日1回(朝食後or前)だけで良いというのもSGLT2阻害薬の特徴です。
(※トラゼンタ錠は添付文書では、服用時点は「朝食後または朝食前」といった朝服用の指定はされていませんが、後述の「多尿・頻尿の副作用」対策のために、他のSGLT2阻害薬と同様に、朝服用するのが最も一般的です。)
SGLT2阻害薬の注意点
「尿中への糖の排泄量を増やす」ことで、血中の糖を減らしてくれるSGLT2阻害薬ですが、この特徴が逆に いくつかの副作用の出現にもつながります。
感染症(膀胱炎・尿道炎)に注意
尿が糖を多く含むことで、膀胱炎や尿道炎などの感染症にかかりやすくなるため注意が必要です。
膀胱炎や尿道炎の初期症状としては、
・排尿時の痛み(下腹部や尿道の痛み)
・残尿感(トイレに行ったのにすっきりしない)
・尿混濁(感染により尿が少し白濁することがあります)
などがありますので、SGLT2阻害薬服用中にこれらの症状が起こった場合は、副作用である可能性があります。
処方医や、かかりつけの薬局に相談してください。
頻尿・尿量増加に注意
尿に糖が多く含まれると、その濃度を少しでも下げようと、体は血液から尿へ水分を移動させます。
これにより尿の量が増え、頻尿や多尿につながります。
頻尿・多尿で特に困るのは、夜中にトイレに行きたくなり、睡眠の質を低下させてしまう事です。
睡眠の質を低下させないために、SGLT2阻害薬は1日1回朝(食前or食後)飲むように決められています。
脱水に注意
上記の「頻尿・尿量増加に注意」と同じ理由で、体(血液)から尿へ水分が移動するため、脱水症状(体の水分が少なくなった状態)に注意が必要となります。
脱水の初期症状としては、
・喉がかわく、口の中がネバネバする
・めまい
・ぼーっとする
・倦怠感
などが言われています。
より悪化すると
・吐き気
・全身の脱力感、動きが鈍くなる
・強い眠気
・手足のふるえ、ふらつき
・頭痛
・脈拍や呼吸の異常
・幻覚
なども、起こってきますので 、こまめな水分補給など、早めの対策を行うようにしてください。
ケトアシドーシスに注意
SGLT2阻害薬と一緒にインスリン治療を併用している患者さん(Ⅰ型糖尿病患者さん)の場合は特に、ケトアシドーシスにも注意が必要です。
ひどい体調不良(シックデイ)の時は休薬してください
体調不良(発熱・下痢・嘔吐)などもしくは、食事がほとんど摂れないような場合には、SGLT2阻害薬は休薬してください。
理由としては、下記が複合的に絡み合い、急速に悪化してしまう危険性があるからです。
・食事摂取不足により、低血糖を起こす危険性が上がる。
・水分摂取不足により、脱水の危険性が上がる。
更に➡脱水は血糖上昇をより悪化させる。
更に➡糖尿病性ケトアシドーシスまで発展するリスクが高まる。
日本糖尿病学会の「SGLT2阻害薬の適正使用に関する Recommendation」 の中でも下記のように書かれています。
5.発熱・下痢・嘔吐などがあるときないしは食思不振で食事が十分摂れないような場合(シックデイ)には必ず休薬する。また、手術が予定されている場合には、術前3日前から休薬し、食事が十分摂取できるようになってから再開する。
対策(副作用を起こさないために水分補給が大切)
一番簡単で有効な対策が こまめな水分補給です。
こまめに水分を補給することで、
・糖を多く含んだ尿は、薄められ膀胱炎や尿道炎のリスクは下がります。
・脱水症状は防げます。
・ケトアシドーシスが急速に重症化するのを防げます。
水分を補給すると当然、尿量や排尿の回数は増えてしまうのですが、夜間の頻尿につながらないよう、夕方以降は一定量以下に調整するなどで、対策は可能です。
※一般的な対策を記載しています。
合併症などの兼ね合いで水分補給について医師から直接指示が出ている場合はそちらを優先してください。
※掲載している情報は当ページ作成時点での情報です。
当ページの情報のみを参考にせず、実際には 処方医や かかりつけの薬剤師の指示に従ってください。
作成:薬剤師-五十君 壮平 (Isogimi Sohei)
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